子どもたちを「自立した学習者」へ

  私たちがどの層に授業を行うときにも暗黙の目的としていることがあります。

  「学習者の自立」です。

  学習者ひとりひとりが自立して学んでゆけることは、かれらが幸せな人生を送るための必要条件です。恐ろしい速度で変化し続けてゆく社会で、たのもしく自立し、たくましく生き抜いてゆける人たちを育ててゆくためには、教師がいなくても学び続けることができる力を伸ばしてあげなければなりません。大人がレールを敷き、そのレールに乗って要領よく生きてゆく方法を教えるのではなく、学習者ひとりひとりが自分の幸せを定義し、自立して学び続けていけるような教育でなければなりません。教師に教えられるのを待つのではなく、自分自身で学んでゆくことができる人たちを育てていかなければなりません。

  終身雇用制度が神話になり、変化と進歩の激しい今の世の中にあっては、学生のときに一生懸命勉強していい大学に入っただけでは生き残ってゆけません。つねに好奇心と向上心を保ち続け、自主的に学び、自分自身に新しい価値を付加し続けていける人だけが活躍し続けることができるでしょう。

​大学受験も変わります

 文部科学省は、現行の大学入試センター試験を2020年をもって廃止する決定をしました。代わって導入される「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」では、「思考力・判断力・表現力」が主要な評価項目となり、自ら問題を発見し、答えがひとつに定まらない問題に解を見い出していくために必要な能力が重視されるとしています。

  また英語に関しても、従来の2技能試験(Reading・Listening)から、Speaking・Writingが追加された4技能試験に移行することが明らかにされています。

  これらの能力は、従来の講義形式で行われる知識詰め込み型の教育で得られるものではなく、受験直前の追い込みで一朝一夕に身につく力でもありません。普段から主体的に学ぶ習慣を身につけ、学んだことをアウトプットする経験を積んでいなければ、これからの大学入試には対応できないでしょう。

  またこうした能力は、今後の社会のニーズでもあります。経団連が2015年9月に出した「国立大学改革に関する考え方」では、産業界が求める人材像として、「幅広い教養、課題発見・解決力、外国語によるコミュニケーション能力、自らの考えや意見を論理的に発信する力」が挙げられています。「いい大学を出た」「英語が話せる」だけで重宝される時代は終わりつつあると言っていいでしょう。ますます多様化し、国際化していく社会では、自分で考え、果敢に挑戦し、失敗をバネにしながらたくましく生きていく力が必要になります。その力を、教育の場という、安心して失敗できる環境で育てていかねばならないと私たちは考えています。

私たちの授業方針

  私たちは、生徒たちに課題や問いを与え、それを生徒たちどうしで協力しながら解決し、生徒自ら答えを見つけていく、いわゆる「アクティブ・ラーニング」を実践しています。教師が一方的にレクチャーすることはありません。学ぶ主体はあくまで生徒たち。授業の主人公は教師ではなく、常に生徒たちです。

   Ripple Englishでは、生徒一人一人にiPadが貸し与えられます。例えば中学生の授業で教科書の新しい単元に進むと、生徒たちはノートを開いて先生の板書を待つのではなく、iPadのミュージックアプリを開きます。生徒たちは音源を聞き、ペアで協力しながら教科書のテキストをディクテーションしていきます。お互いの英語の知識と精一杯のリスニング力をフル活用して、耳だけを頼りにテキストを書き取っていくのです。知らない単語などがあれば、iPad内の辞書やブラウザを使い、自分で調べます。自力で調べても分からなかったことだけ先生に聞くのです。活きたリスニング力や自主的に学ぶ習慣が身につくだけでなく、これまでに習った知識をフル活用することでこれ以上ない実践的な復習になります。仲間との協働を通して、コミュニケーション能力も育まれます。

  ときには生徒たちが先生となって教え合うこともあります。ICTを活用したアクティブ・ラーニングは生徒たちの論理的思考力や表現力をも育みます。生徒たちは自力で調べ理解した内容を、今度はスライドやレポートや絵にしてまとめ、クラスの前で発表します。どうすれば自分の考えを上手くまとめ、効果的に伝えることができるのか、生徒は試行錯誤を繰り返しながら「考える力」「伝える力」をぐんぐん伸ばしていくのです。

  「アクティブ・ラーニング」は決して放任ではありません。私たち教師の役目は、従来の「知識を分かりやすく伝える」ことではなく、「目標を設定し、目標達成の方法を支援する」ことであると考えています。学習の主体を生徒たちに委ねると、かれらは私たちが想像している以上に創意工夫を凝らし、活き活きと学び、驚くような結果を示してくれます。「まだ子供だから」といった大人たちの思い込みが、知らないうちに子どもたちの可能性に蓋をしてしまっているのかもしれません。

  生徒たちが積極的に学んだり堂々と発表したりする姿や、自分で考えて上手くまとめられたスライドなどを見れば、アクティブ・ラーニングがいかに生徒たちの可能性を解き放つ授業であるかが分かるでしょう。私たち教師の仕事は、かれらの活動を見守り、アドバイスし、成果を適切に評価して更なる自発的な学びにつなげることです。